歯周病が手遅れになると抜歯しか選択肢はない?【歯をできるだけ残す治療】
こんにちは。
大阪市北区 南森町 増田歯科・矯正歯科で理事長をしております 歯科医師の増田です。
忙しくてなかなか歯医者さんに行けておらず
「歯槽膿漏(重度の歯周病)が進行すると手遅れになってしまうのか?」
と不安に思っている方は多いのではないでしょうか。
歯周病は進行がゆっくりなので、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
そのため、気がついたときには 「歯がグラグラする」「歯茎が腫れて膿が出る」「噛むと痛い」 など、すでに深刻な状態に進行しているケースがよくあります。
しかし、「手遅れ」と思われる状態でも、適切な治療を受けることで 進行を食い止めたり、歯を残すことができる可能性がある ため、決して諦める必要はありません。
今回は、歯周病の進行段階別の症状や治療法、手遅れと判断されるケースとその対処法について詳しく解説していきます。
1,歯周病の進行度とそれぞれの症状・治療法
1. 歯肉炎(歯周病の初期段階)
2. 軽度歯周病
3. 中等度歯周病
4. 重度歯周病(歯槽膿漏)
2,「手遅れ」と言われる状態でもできることはある!
1. できるだけ歯を残すための治療
2. 抜歯後の治療方法
~まとめ~
1,歯周病の進行度とそれぞれの症状・治療法
歯周病は 「歯肉炎」→「軽度歯周病」→「中等度歯周病」→「重度歯周病(歯槽膿漏)」 という段階を経て進行します。
症状を把握し、早い段階で適切な治療を受けることが歯を守るポイントになります。
1. 歯肉炎(歯周病の初期段階)
症状:
- 歯茎が赤く腫れる
- 歯磨きの際に出血する
- 痛みはほとんど感じない
この段階では、炎症が歯茎にとどまっており、歯を支える骨にはまだ影響を及ぼしていません。
しかし、適切なケアを怠ると 歯周病に進行 してしまいます。
対策・治療法:
- 毎日の歯磨きを徹底し、歯と歯茎の境目を丁寧に磨く
- フロスや歯間ブラシを使用し、歯間のプラークを除去する
- 歯科医院で定期的なクリーニングを受ける
2. 軽度歯周病
症状:
- 歯茎が赤く腫れ、押すと血や膿が出る
- 歯茎の炎症が持続し、口臭が発生する
- 歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)が深くなり始める(3~4mm)
この段階では、炎症が歯茎の奥にまで及び、歯を支える骨がわずかに溶け始めています。
早めの治療で進行を防ぐことが重要です。
対策・治療法:
- スケーリング(歯石除去):歯科医院で歯石を徹底的に除去し、炎症を抑える
- ルートプレーニング:歯周ポケット内の歯石を取り除き、歯の根を滑らかにする治療
- 適切なブラッシング指導 を受けて、セルフケアのレベルを向上させる
3. 中等度歯周病
症状:
- 歯茎の腫れや出血が悪化し、膿が出ることがある
- 口臭が強くなる
- 歯周ポケットが深くなり(4〜6mm)、歯がグラつき始める
この段階では、歯を支える骨がかなり溶け始めており、放置すると 歯槽膿漏(重度歯周病) に進行する危険があります。
対策・治療法:
- スケーリング&ルートプレーニング を継続して行い、歯茎の状態を改善
- 歯周ポケット掻爬術(SRP):歯周ポケット内の歯石や細菌を徹底除去する
- 再生療法(エムドゲイン・GTR法) により、溶けた骨の再生を促す
4. 重度歯周病(歯槽膿漏)
症状:
- 歯がグラグラして、今にも抜けそう
- 歯茎が後退し、歯が長く見える
- 強い口臭があり、噛むと痛みを感じる
- 歯周ポケットが7mm以上になり、骨の吸収が進行
この段階になると、歯を支える骨が大幅に溶けてしまい、歯が抜け落ちる危険性が高まります。
しかし、最新の歯周病治療によって 抜歯せずに済む可能性もある ため、早急に歯科医院を受診することが重要です。
対策・治療法:
- 歯周組織再生療法(エムドゲイン・GTR法) による歯槽骨の回復
- 歯周外科手術(フラップ手術) による徹底的な細菌除去
- 歯が抜けた場合は、インプラント・ブリッジ・入れ歯を検討
2,「手遅れ」と言われる状態でもできることはある!
1. できるだけ歯を残すための治療
重度歯周病であっても、すべての歯を抜く必要があるとは限りません。
状態によっては、歯周組織の再生治療 によって骨を回復し、歯を残すことが可能です。
ここでは、当院でご提供が可能な治療方法と、その特徴についてご紹介いたします。
① GTR法(歯周組織誘導再生法)
歯周ポケットの中をきれいに掃除したあと、特殊な膜(バリア膜)を設置して、歯槽骨(歯を支える骨)や歯根膜の再生を促す方法です。
【特徴】
・本来再生してほしい骨や組織が再生するスペースを確保できる。
・基本的に保険適用外
② エムドゲイン法(エナメルマトリックスタンパク質応用療法)
エムドゲイン®という、歯が作られるときに重要なタンパク質を含む薬剤を根の表面に塗布し、歯周組織の再生を促す方法です。
【特徴】
・特に若い患者さんでは再生力が高い。
・縫合して組織が自然に再生するのを待つ。
・基本的に保険適用外
・自然な組織の形成が期待できるが、重症すぎると効果が出にくいこともある。
③ リグロス療法(bFGF製剤による再生療法)
「bFGF」という、組織を作る信号を出すタンパク質を含む薬剤使って、歯槽骨や歯根膜の再生を促す方法。
・比較的幅広い症例に使える。
・骨が完全に溶けていると再生は難しいことも。
・保険適応◎
上記のような治療を受けることで、失ってしまった骨や組織が再生する可能性もあります。
しかし、すべての症例においてそれが可能であるというわけではありません。
かなり重度の破壊がおき、歯を支える骨がほとんどない場合は、再生治療だけでは無理なこともあります。
その場合はインプラントや入れ歯が次の治療の選択肢です。
また、タバコを吸っていると成功率が下がるので、禁煙をしていただく必要があります。
そして、最も大切なことがプラークコントロールです。
いくら腕のいいドクターが精度の高い治療をおこなったとしても、お口の不衛生な環境が続くとせっかく治療を頑張っていただいても再発しやすくなってしまいます。
治療後は、歯科スタッフからお伝えする正しいセルフケア方法をおこなっていただき、合わせてプロケアも定期的に受けるようにしていただくことが大切です。
2. 抜歯後の治療方法
当院では基本的に歯や組織を残していただく治療方針のため、治療可能なうちはできる限り
もし抜歯が必要になった場合でも、歯をそのままにしておくのは危険です。
放置すると、隣の歯が倒れたり、噛み合わせが悪くなったりして、さらなるお口のトラブルを招きます。
- インプラント:天然歯に近い噛み心地を取り戻せる
- ブリッジ:隣の歯を支えにして人工歯を装着
- 入れ歯:比較的安価で治療可能
🦷当院のインプラント治療、専門医についてさらに詳しく知りたい方はこちら(インプラント専門サイト)をご覧ください。
~まとめ~
「歯槽膿漏が進行してしまったから手遅れ」と諦める必要はありません。
歯周病は早期治療が重要ですが、進行してしまった場合でも適切な治療を行えば 症状を改善し、歯を残せる可能性が高まります。
当院では、歯周病の進行状況に応じた最適な治療をご提供し、患者さまの大切な歯を守るサポートを行っています。
「歯がグラつく」「歯茎が腫れている」「口臭が気になる」など、少しでも気になることがある方は、お気軽にご相談くださいね!
🦷歯茎の出血や歯周病についてさらに詳しく知りたい方はこちら