指さし~感覚の主役は触覚から視覚へ
赤ちゃんは、上下8本の前歯が生えそろい、1歳の誕生日を迎えるころ、自分から「指さし」を始めます。
関心のあるものを見つけてそれを指さします。
人間独特の「指示思考」の芽生えなのです。
抽象思考や概念思考の始まりです。
どんなに賢い犬でも、指さしで何かの位置を教えようとすると、その指の先に注目してしまい、指さす方を見ることはしません。
この指差しが「ことば」に繋がっていきます
次に立ち上がるようになると、突然視野が広くなるのです
目で世界をみるようになると、舌や手獲得した「生命記憶」を目で理解するようになります。
感覚の主役の座は、触覚から視覚へと移っていきます。
視覚が優位になると、唇や舌や歯の感覚と記憶は原子的で低級な感覚に貶められてしまいます。
でも、大人の性愛の快感や、あるいは食べることの愉悦は、この乳児期の豊かな記憶が底辺にあるのです。
成長して、視覚と言語によって複雑な思考をするようになったとき、その底辺を支えるのは舐めまわしの記憶なのです。
よちよちと二足歩行が可能になるころ、咽頭膣が拡がり、複雑な発音ができるようになり、一気にことばによる思考の表現が始まります。
小さな奥歯が生えそろうころ、お口は感覚の主役から会話の主役に変わっているのです。