家族に常在菌叢(そう)~清潔ってどういうこと?~
赤ちゃんが産道を通るときから細菌の伝播が始まるため、生まれたばかりの赤ちゃんの口からはすでに細菌が見つかります
人間の体が外界の脅威にさらされるところは、皮膚には皮膚ブドウ球菌、膣には乳酸桿菌、腸内には小腸壁をびっしりと埋め尽くすように細菌が生息しており、その細菌のおかげで、有害な感染を防いでいます
口の中には600種を超える常在菌がいて口の中の健康が保たれているのです
常在菌なしに人は健康に生きることはできないのです
ですから、手や肌や口を清潔に保つということは、生物学的には好ましい常在菌叢(くさむらが土の表面を覆うよう、細菌がからだの表面を覆って生物と共存している状態)を維持するということを意味します
この皮膚や腸内や口の中の常在菌叢は、一緒に生活する家族同士で感染して形成されるので、ある家族には家族だけに分かる共通の約束ごとがあるように、ご夫婦、親子そして兄弟姉妹の常在菌叢は互いに深い関係を持っているのです
乳歯が生える前には舌の表面の溝が、最も重要な細菌のすみかです
むし歯を起こすミュータンス菌とソブリナス菌は、早い子供で生後3か月から見つかります
さらに乳歯が生える前の子供の30%から見つかったという研究があります
しかしながら、同じ研究で、生後24か月の歯の生えた子供では、80%からミュータンス菌とソブリナス菌が見つかっています
とくに、ミュータンス菌が家族の中で赤ちゃんに感染しやすい時期は<感染の窓>と呼ばれています