離乳期のスプーン 6か月~1歳
離乳食を始めるときには、それが栄養にためではなく、食べる楽しみのものであることを意識してみてはどうでしょう?
離乳期は食べ物を噛んでゴックンと飲み込むことを学習する時期です。
もうひとつは食べ物をくわえ、微妙な構音を獲得するためにくちびるを発達させる時期でもあります。
赤ちゃんのうわくちびるは、厚く富士山のような山型をしています。
うわくちびるを使うようになると次第に薄く平坦になっていきます。
離乳食用の浅いスプーンに小間切れのお豆腐をのせて、したくちびるにのせてみましょう。
はじめはこのスプーンにうまく反応できないかもしれません。
そこにうわくちびるが閉じれば、スプーンのうえのお豆腐を捉えることができます。
生後6か月くらいになると、うわくちびるで食べ物を取り込むことができるようになります。
舌でつぶした食べ物をひとまとめにすることも覚えます。
この時期に、食べ物を舌の上にのせてしまったのでは離乳食の楽しみは半減してしまうのです。
前歯が生えたら、したくちびるにのせたスプーンの上のバナナを前歯でかじり取り、それを上あごでつぶせるようになります。(これは生後8か月ごろ)
丸みのあるスプーンが使えるようになりますので、歯ぐきでつぶせる硬さに挑戦できます。
上あごに押しつけてつぶしていたものが、1か月もすると歯ぐきで噛むようになります。(生後9か月ごろ)
この時期になったら、噛む楽しみが加わります。
このような赤ちゃんの発達を無視して口の中にスプーンを何杯も押し込んでしまったのでは、どんなにおいしい離乳食もたんなる栄養補給に終わってしまうのです。
スプーンの位置を工夫するだけで、赤ちゃんは、次第に口唇を使ってくわえ、その温かみや硬さを感じて舌をそれに連繋させます。
スプーンを口唇の上に運ぶ前に、食べ物の匂いを感じ目で見て、ことばがけがあったら、それは最高です。
期待し、考え、口唇で食べ物の温かさを感じて歯で硬さを感じ、舌で味わって食べることができたら、それはもうほんとうに立派な食事のスタートです。